electriclopedia

家電製品の「なぜ?」「故障?」「どういうこと?」を簡潔に記した管理人の備忘録。ご質問はお気軽に。

発想が斬新すぎるアナログプレイヤーが話題

f:id:ad-orange:20170203230112j:plain

アナログ盤とカセットテープが見直されているらしい。クリアな音質にこだわる時代からノイズを含めた音の方が良いと思う人が増えてきたのだろう。解が多様化するのは業界にとっても良いのではないかと思う。

クロアクレープメーカー

以前、逆転の発想で話題になったクレープメーカーがあった。クレープの作り方といえば、ホットプレートに生地を広げるのが当たり前。しかし、クロアクレープメーカーは「機械を生地に浸ける」という逆転の発想で誰でも簡単に薄いクレープが作れるという製品だ。

 

逆転の発想という言葉をよく耳にするが、並大抵の思考では難しい。この手があったかと感心するような製品とは中々目にすることが出来ないものだ。

そこで今日の本題のアナログプレーヤーを紹介したいと思う。

LOVEという名のアナログプレーヤー

通常アナログプレーヤーとは、アナログ盤をセットしターンテーブルが回転し、針を落とす。アナログ盤が生まれた頃、蓄音機で聞いていた時代から変わる事のなかった事実がある。

それが2017年に歴史が変わったのである。

アナログ盤を置いた状態で上を回る流線型の製品。これが「LOVE」と呼ばれるアナログプレーヤーだ。

The LOVE turntable reads vinyl records with a traditional stylus, connects to Bluetooth & Wi-Fi, and can be controlled by its app.

www.kickstarter.com

V溝と呼ばれる溝をセンサーで読み込んで音情報を取得する。更にBluetoothWi-Fiに接続し、アプリで制御が可能だ。

2017年の音楽シーンでは「LOVE」に注目だ。

 

 

 

健康調理家電というマーケットを作ったシャープ物語

f:id:ad-orange:20170202232349j:plain

ここ数年進化を続けるだけではなく、新たなマーケットを創造した家電業界の新カテゴリーといえば調理家電だ。次々と新技術、新発想の元、健康調理家電という新たなカテゴリーが生まれたのだ。

健康調理家電というカテゴリーを創り出したのはシャープであると僕は今でも思っている。シャープが作り出した健康調理家電の代表と言える、ウォーターオーブンヘルシオに焦点を当ててみる。

2004年健康調理家電はヘルシオから始まった

今はもう他国の電機メーカーになってしまったが、シャープの調理家電チームが生み出したウォーターオーブンヘルシオ

温め機能のレンジ機能、熱風で焼くオーブン機能、ヒーターで焼くグリル機能という3つの機能が一体化したオーブンレンジというカテゴリーの中に突如登場したヘルシオはオーブンレンジの代わりではなく、全く別の使い方をして欲しいというメッセージが込められた新商品だった。

新しいオーブンレンジかと思っていた業界が見事に肩透かしを食らったその驚くべき仕様にメッセージ性が強く込められている。初代ヘルシオには「レンジ」機能が付いていなかったのだ。オーブンも温めも全て「加熱水蒸気」と呼ばれる400度近い水蒸気で行うその仕様に驚かされる。

「正直これでは売り辛い。」

と、恐らく全ての家電店の店員は思った事だろう。普通なら3分もあれば十分におかずの温めが出来る電子レンジに比べて、ヘルシオは水蒸気の過熱から始まるので10分は優に超えてしまう。正直これでは売れない、と誰もが思った事だろう。そしてシャープの営業にこう言った事だろう。

「これじゃ、売れないよ」

と。 しかしシャープの営業は全国で勉強会を大々的に開催する。教育というより説得に近い、いや洗脳に近い勉強会だったかもしれない。時にはATOM隊と呼ばれる特殊チームを派遣して勉強会を開いて店員を教育して回る。

話は逸れるが、このエネルギッシュなスタイルこそ僕はシャープの象徴だったと思う。財産と言っても良いかもしれない。液晶テレビアクオス(発売当時はウィンドウ)が当初市場を圧倒していたのも製品が優れていたのもあったが、やはり全シャープの営業が足で回って教育したからこそ、店員がアクオスファンになり、マーケットを制覇出来たと思う。シャープの持っていた財産は、液晶パネルの技術ではなく、オンリーワン商品を開発する開発陣と、明らかに他社と異なり泥臭く営業を行う営業マンであったのは間違いない。

こうして教育された店員達は皆、レンジなんていらない、健康の為に不要な油を落とすにはやはり加熱水蒸気だ、同じ温めでも健康に良い方がいいに決まってる、と。

初代ヘルシオは店舗により売れる店、売れない店がはっきり分かれる製品となった。シャープの営業の「営業力」が左右したのだろう。そして余熱覚めぬまま2世代目が発売となる。

遂にヘルシオにレンジ機能が搭載!

全国の家電店員は裏切られたと思った事だろう(笑)。ヘルシオ黎明期にはこのような裏話がありながらも着実に健康調理家電というマーケットは成長を続ける。発売当時10万円近くしたヘルシオも今は安くなった。

2013年ノンフライヤーで花開いた健康調理

ヘルシオ登場から9年。更に油を使わない事に特化した製品がマーケットに登場する。フィリップスのノンフライヤーHD9220だ。一つの機能に特化した製品であるため万民受けする類の製品ではない。その為、多額のリベートが発生するそのプロモーションに全国の家電量販店は発売前から予約競争を始める。

「正直家族で使用するには小さいんじゃないか」 という意見を押し殺し、ノンフライヤーは記録的ヒット商品となった。それまでフライヤーという製品は調理家電にもあったが、小型で単に揚げるだけの製品に過ぎなかった。このフライヤーというカテゴリーと健康というキーワードをマッチングさせてノンフライに特化した製品として発売し、プロモーション手法も成功を収めたのが成功の要因と言えるだろう。

その後は各社類似商品を発売し、健康調理家電というカテゴリーは成熟の時を迎えることとなる。

今後のマーケット創造

今後はどのような製品がマーケットを作るのだろうか。どのようなプロモーションが行われるのだろうか。家電に求められる性能は当然利便性であることは間違いないが、シャープのヘルシオが作った流れが10年で一大マーケットに進化するのを見て楽しみが広がる。願わくばそのムーブメントの始まりが日本発であれば家電に携わった仕事をしてきた僕としては嬉しいのだが。

メーカー営業の本気、ダイソンのダストカップの秘密

f:id:ad-orange:20170201231047j:plain

日本の掃除機マーケットに主に価格面で変革を起こした舶来メーカーのダイソン。今では掃除機以外の家電製品でも扇風機やドライヤーもスタイリッシュなデザインで人気を博している。

サイクロン方式という唯一無二の構造でマーケットを圧倒したプロモーションや基本的な構造の話は別の機会に譲るとして、今日はダイソンのダストカップのはなしをしてみたい。

ダストカップを床に叩きつける

見出しだけ見ると乱暴な表現になるが、ダイソンの掃除機のダストカップを大理石の床に叩きつけたことがある人間はそうそう居ないだろう。実は僕にはその経験がある。

一体なぜそのような暴挙に出たのだろうか。

今から10年ほど前の話だ。ダイソンの営業と店頭で話をしていた時、基本的なサイクロンの構造、なぜダイソンの掃除機は良いのか、他社と何が異なるのか等の一般的な知識以外の逸話的な話を僕は欲していた。

その中で聞いた話は、ボタンを長押しするとサポートセンターに電話した時に症状を把握してもらえる機能や、首都圏ならD2Dで72時間以内に修理が完了するというような有益な情報を得られた。そして得た一つのとっておきの情報が、冒頭の「ダストカップを床に叩きつける」という行動に繋がった。

別に怒り狂った話ではない。

ね、全然大丈夫ですよね

「ダイソンのダストカップは割れません。多少傷がつくかもしれませんが割れることはありません。」

とダイソンの営業は言った。航空機の窓と同じ素材を使用しているので通常使用で割れることは絶対にありません!と言い切る営業に僕はこう言った。

「床に叩きつけていい?」

と。若いって怖い。なんて失礼な事を言ったのだと今なら思えるが、当時は普通に聞いてしまった。するとダイソンの営業は、

「いいですよ、大丈夫です。」

と、自信満々に笑いながら言い切った。無駄に大理石の床に叩きつけられたダイソンのダストカップ。そして割れることなくコロコロと転がるダストカップを見ながらダイソンの営業はこう言いました。

「ね、全然大丈夫ですよね」

オンリーワンメーカーが大手家電メーカーを凌駕する時代が来た

f:id:ad-orange:20170131224023j:plain

家庭用の炊飯器がここ数年、高級化を辿っている。高付加価値、高単価という流れは炊飯器に限らず、掃除機や空気清浄機といった家電製品にもこの傾向がある。

調理家電に限って言えば、炊飯器は高級路線を辿っているのに対し、電気ポットは電気ケトルという新しいマーケットに割を食う形で縮小し、省エネという付加価値を付けて高単価製品をリリースするも苦戦を強いられている。

コーヒーメーカーはネスカフェバリスタやドルチェゲストのようなキラー商品がマーケットを一蹴し、デロンギのエスプレッソメーカーも高単価ながら販売台数が伸びている。

調理家電で高付加価値、高単価商品が売れるカテゴリーに共通しているのは、「味」に関わるカテゴリーの製品は高くても売れるのがここ数年のトレンドだ。よく言われることだが、外食から内食へとシフトすることによって、「おうちで食べる・飲む」事にお金を掛けるように家計がシフトしているのは間違いない。そこで今日は日本人ならほぼ毎日口にする「ごはん」の味を左右する炊飯器の事をお話したいと思う。

マイコン式炊飯器からIH炊飯器が主流に

昭和の時代、家庭用炊飯器の主流はマイコン式の炊飯器だった。内釜の下に電熱式のヒーターがあり、ヒーターが過熱することにより内釜に熱を伝え、お米を炊飯する方式の炊飯器だ。

更に、マイコン制御により、火力を調整する事が出来、炊き上がりに差を付けることが可能になった。厚釜が美味しいという、ある意味正しくもあり、ある意味間違っている厚釜信奉が生まれたのもこの頃からだ。

話は逸れるが、前述の「厚釜が美味しい」というのがある意味正しくもあり、ある意味間違っているという件を簡単に説明すると、 厚釜は高火力だから美味しい 厚釜だから高火力になる訳がない。釜の下にあるヒーターで加熱するので釜が厚い分、お米に熱が伝わるのは遅くなる。 厚釜だからご飯が均等に炊き上がる 厚釜は薄い釜と比べて熱が伝わるのが遅い反面釜全体に熱が伝わるのでお米に均等に熱が伝わり、ご飯の炊きあがりが均一化する。結果、ムラなくご飯が炊けるので美味しいと言えなくもない。

昭和から平成へと時代が移る直前、炊飯器にも革命的な製品が誕生した。IH式炊飯器の登場だ。簡単に説明すると、マイコン式の炊飯器とは異なりヒーターが無く、電磁誘導を利用して電流を流し、釜自体を発熱させる方式の炊飯器である。ヒーターを利用したマイコン式と比べ、元々の火力が強いことに加え、釜自体が発熱するので火が近いので、強火力でお米を炊き上げることが可能になった。

今も昔も強い火力でお米を炊く薪を使用した竈を最高峰と考え、電気を利用した炊飯器で竈に近づけるために、メーカーは試行錯誤している。その結果生まれたのがIH式の炊飯器だ。

進化するIH式炊飯器

平成の時代になり、21世紀を迎えIH式炊飯器はメーカーごとに独自に進化を遂げる。メーカーが歩み、目指した炊飯器像が独自進化を遂げ、家電製品の中でも非常に面白いカテゴリーになった。

圧力IHで畳みかけた象印魔法瓶と三洋

圧力IHという新しい製品でマーケットを引っ張ったのが鳥取三洋と象印魔法瓶だ。圧力IHとは釜の中の気圧を変動させる事により、水の沸点を上げることが出来る。水が沸騰する際に起こる対流を何度も釜の中で起こす事により、お米を極限まで動かすことが出来るのが圧力IH方式の炊飯器だ。 健康ブームに乗って玄米炊飯に強みを発揮し店頭では象印、通販では鳥取三洋がシェアを爆発的に伸ばした。

高級鍋メーカーとタイアップして高級路線に進みかけたタイガー魔法瓶と三菱

象印と三洋が圧力IH方式で売り上げを伸ばす中、三菱とタイガーは高級鍋メーカーとタイアップした内釜で攻勢を掛ける。三菱はヴェローナ、タイガーはビタクラフトという多層系の高級鍋メーカーとのタイアップで店頭を賑やかした。 多層系の鍋はIH方式の炊飯器と相性が非常に良く、発熱効率が抜群だ。電磁波が層を通るたびに発熱が加速し、結果的に高火力を得る事が出来る。店頭プロモーションでも、ステンレスピカピカの内釜は見栄えも良く、調理器具に明るい奥様達の心をキャッチすることに成功する。

丸ごと洗える内蓋で市民権を得たタイガー

同じくタイガーの炊飯器だが、タイガーは唯一炊飯器の蓋を丸ごと洗える構造を持っている。他社は何れも内蓋のみ外して洗える構造だが、蓋ごと丸ごと簡単に(引っ張るだけ)外せる唯一無二の構造はお手入れにこだわる奥様には非常に受けが良い製品だ。

遅れて圧力IHに参戦した東芝

日本初の電気炊飯器を製造販売した東芝は、遅れて圧力IHに参戦する。個人的な感想だが、内釜にこだわる程でもなく、タイガーのようにお手入れにこだわる程でもなく、パナソニックのように全面で発熱するIHでもなく、家電店本部のリベートメインのプロモーションが強いという印象だった。 遅れて参戦した圧力IHで市場を巻き返しを図った東芝だが、特記事項は無い。

全面IHとスチームで独自路線に突き進むパナソニック

各社圧力IHに参戦する中、頑なにIH本来の火力で勝負を挑んだのがパナソニックだ。各社基本的には底面しか発熱しない構造の中、横、最上部、上面とすべての面で発熱する全面IHを開発し、オーブンレンジ業界で大流行したスチーム機能を炊飯器に持って来たのが素晴らしい。 内釜に銅釜を採用し、見た目もキャッチーな製品に作り上げたのも店頭映えが非常によく、昔からのナショナルファンの期待に応えるのがさすがパナソニックだ。

超高級内釜で10万を超える炊飯器をヒットさせた三菱

現在まで続く、超高級炊飯器の道を作ったのが、三菱の本炭釜炊飯器だ。市場価格が10万円を超える炊飯器がヒットするとは現場では思っていなかっただろう。プロモーションでも東京の某有名ごはん屋さんを使ったプロモーションビデオを店頭で流し、アイキャッチを作り、引っ張ってきたお客さまには本炭釜の存在感でアピールするという手法は非常に好感が持て、実際に販売にも繋がっていたと言える。

各社高級内釜路線に

現在では各社嗜好を凝らした高級内釜で火花を散らしている。市場価格は10万円前後とかなり高額だが、「おうちごはん」にお金を掛けるここ数年の流れを創り出す要因となっている。 象印の南部鉄器 極め羽釜、タイガーの土鍋釜、東芝のかまど本羽釜、三菱は変わらず本炭釜、パナソニックは遂に圧力IHを採用しダイヤモンド竈釜、と各社挙って高級内釜路線にシフトしている。この流れはしばらく続くだろう。何故なら高級内釜という付加価値を商品に加えないと高単価商品として価格が維持できないからだ。

高級内釜路線に一石を投じるバーミキュラ

マーケットが高級内釜一辺倒の現在に、一石を投じる商品が調理器具メーカーから発売され爆発的なヒットを飛ばしている。 それがバーミキュラのライスポットと呼ばれる炊飯器ではなく炊飯鍋だ。非家電メーカーが発売した、高気密に答えを求めたこの炊飯鍋がマーケットで受け入れられる現在に日本の調理マーケットの多様性が感じられる。家電メーカーが開発した炊飯器には当たり前に標準装備されている保温機能を無くして、炊飯することのみに注力したその製品は数カ月の予約待ちになっているという。

大型テレビが必要な時代ではなくなった

f:id:ad-orange:20170130232644j:plain

家庭に欠かせない家電製品は様々だが、いつの時代も必需品とされてきた家電製品がある、それがテレビだ。古くは1950年代に「三種の神器」として白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫が挙げられる。高度経済成長期には「新・三種の神器」としてカラーテレビ、クーラー、自家用車が挙げられている。いつの時代も日本人はテレビと共に生活をしてきたと言っても過言ではないだろう。消費者が求めれば生産者がそれに応えるようにして日本の家電メーカーは切磋琢磨して素晴らしいテレビを世に送り出してきた。

今のテレビは過剰品質

テレビが普及した1950年代から60年以上経つが、その間にテレビは驚くほど形を変えてきた。テレビが他の家電製品と決定的に異なる点がある。それはハード面の進化とソフト面の進化が必要になる事だ。ハードだけ進化してもコンテンツが無ければ意味がない。コンテンツが進化してもハード面が追従してこなければコンテンツが生かせない。冷蔵庫や洗濯機と異なる設計が必要なテレビだからこそ、特異な進化を続けている。

2017年は遂に有機ELテレビが市場に本格投入される。正直言って液晶テレビの画質はブラウン管テレビに比べ劣っているのは間違いないが、それでも家庭でテレビ放送を楽しむには十分な画質を得られている。まだコンテンツ不足だが、4Kテレビという超高解像度のテレビでさえまだ浸透していないのに、更に色の再現性に優れた有機ELテレビを市場投入するという話だ。

これは正直言って過剰品質になっているのは間違いない。一般的な液晶テレビを普段から観ている一般の消費者が4Kテレビは勿論、有機ELテレビまで欲しているとは到底思えない。費用対効果が得られるのであれば市場でも普及していくと思うが、液晶テレビプラズマテレビがここまで家庭に爆発的に浸透したのは、他に選択肢が無かったという理由と、地デジというコンテンツを強制されテレビを買い替える必要性に迫られたという2つの理由があるからだろう。

もう高級テレビは売れない

だからこそ、今の時代に過剰品質のテレビが売れるとは思えないのだが、僕が個人的にこれ以上高級テレビが売れないと思う理由は別にある。

テレビの大型化、高画質化を訴求する際に最もよく使われるコンテンツは映画だ。色の再現性に関しても最も顕著に画質の違いが現れるのは「暗いシーン」だ。明るいシーンは色の階調が少なくても人間の目にはあまり違いがわからない。逆に暗いシーンは色の階調が多くないと本来見えるべき光景が見えなくなる程影響が大きい。一般的なテレビ放送は暗いシーンより明るいシーンの方が多い。テレビドラマでもそれは同様だ。逆に映画は非常に暗いシーンが多いのが特徴と言える。勿論作品によるが、映画の表現は圧倒的に暗いシーンが多いのは間違いない。色の階調が多く、表現が豊かな高画質テレビを最も生かすコンテンツが映画であるというのはそういう事だ。そして映画は大型テレビとも非常に相性が良いコンテンツだ。だからこそテレビの大型化、高画質化を訴求する際に最もよく使われるコンテンツは映画であり、実際にプロモーションでも良く使われてきた。

2016年VR元年

そこで現在の市場に目を向けると、VRという新しい技術が飛び込んでくる。2016年がVR元年と言われ、本年は更に市場に露出が増えてくるだろう。ヘッドマウントディスプレイの表現力はテレビを軽く凌駕するパワーを持っている。開発されるコンテンツもテレビよりはVR向けのコンテンツに投資するようになるのではないだろうか。

市場を左右するパワーがどこに投資するかで決まるのが映像コンテンツ業界だ。最近生産完了のニュースが報道された3Dテレビも肝心のコンテンツ不足の為、折角の技術が終焉を迎えることになった。消費者の利便性、欲求を追及すると今後は映像コンテンツを楽しむハードウェアは細分化され、より専門性が高まっていくのではないかと僕は予想する。

結論として「大型テレビが必要な時代ではなくなった」と言えるのではないだろうか。

ワイドナショーを見ていて、後ろのオーディオ機器が気になって番組内容が全く入ってこない

f:id:ad-orange:20170129221551j:plain

年々縮小を続ける家庭用音響機器マーケットですが、近年はハイレゾによる新たなマーケットの創造や、付随して高級ヘッドホン・イヤホンのマーケットが盛り上がっている。1970年台には通称「単コン・バラコン」と呼ばれるオーディオ機器が家庭に普及し、「初任給でステレオを買う。」という行為が普通の時代だった。1980年台~1990年台はミニコンポと呼ばれるパッケージ製品が普及し、高級機と普及機が棲み分けが出来ていた時代と言える。2000年以降はiPodを代表とするDAPが普及し、現在ではスマホで音楽を楽しむ時代になった。音源をデジタルデータ化したことによって、音を増幅するという概念が無くなったのだ。音楽を楽しむには騒音という問題も避けては通れないので、近所付き合いや家族との時間の過ごし方も変化したのも、音響機器の小型化とヘッドホン・イヤホンの進化の要因かもしれない。

ワイドナショーを何気なく見ていたら

そんな2017年、何気なく見ていたテレビ番組のセットにミニコンポが映っていたので驚いた。コメンテーターの松っちゃんの後ろに映るあのフォルム、一昔前のHDD内蔵ミニコンポに見える。まさか新商品で時代錯誤のHDD内蔵ミニコンポが出ているのかと気にしつつ番組提供を注視してみる。紹介されたスポンサーは三菱地所、レイク、KONAMIソニー損保、Solaseed Air。全く家電メーカーが含まれてないのでプロモーションという訳ではなさそうだ。もっとも情報番組のセットに家電製品が組み込まれるのは昔からよくある手法ではあるが、最近はそんな古臭いプロモーションを行う事も無くなったのだろうが。

番組内容が全く耳に入ってこない

後ろに映るコンポが気になって番組内容が全く耳に入ってこないのが困りものだ。あくまでも個人の直観だが、あのフォルムはソニーかケンウッドに違いないと思いつつ番組を見続ける。いや、仮にそうだとしてもかなり古い。そんな製品を日曜10時の高視聴率番組で映すものなのか。しかもメインコメンテーターである松っちゃんの後ろに配置しているので露出は非常に多い。こんな勿体ない話がある訳がない。やはり新商品ではないだろうか。などと考えてしまってはもう番組なんで見れたものではない。

製品を探すも見つからず

結局番組途中で製品を調べ始めてしまった。リスティング広告コンサルティングする際に、広告主にはスマホが普及したことにより「ながら検索」が主流になっているという事を良く説明する。まさかこんな形で自分がながら検索をする羽目になるとは想定外だったが、このようなケースもあるという事だけが収穫だ。話を元に戻すと、番組途中からこのHDD内蔵ミニコンポを探すも全く見つからない。この記事を書いている今になってもまだ見つかっていない。怪しいのは予想通りソニーNAS-D55HDかNAS-D500HDだが、本体色がホワイトなのはわかるが、スピーカーの外枠がウッド色というのが整合性が取れない。スピーカー部のツイーター部も若干気になる点がある。まさか本体とスピーカーを別型番の製品をセットの為に適当に組み合わせたのだろうか。そして上記製品だったとしても2007年、2008年の製品を今の時代のセットに組み込むことなどあるのだろうか。

というどうでもいいことで折角の日曜日の時間を使ってしまった。後悔しかない日曜日である。

about

家電業界を離れて

家電業界に16年弱、リスティング広告業界に転身して2年。 家電業界を離れて2年になります。家電に携わっていた頃から広告関係の仕事もやっておりました。もう専門ではなく少し離れた場所から眺める今の家電業界を見ながら思いを語れればいいなと思いサイトを立ち上げました。 家電流通の枠組みに大きな変革が訪れています。今後の家電流通・家電業界はどこに向かうのでしょうか。