made in 〇〇にこだわるなんてナンセンスな話だ
日本人はmade in Japanが大好きだ。家電製品を買う際に店員に「この製品はどこ製?」と聞いてくるお客さまが一人や二人ではないのも事実だ。
中国製を嫌う中国人に困る日々
中国人の爆買いというニュースが昨年、一昨年と日本中を駆け巡った。日本経済にとっては非常にプラスに働いていたと思う。ところで昔、今から10年以上前の話になるが、僕が東京の家電店で販売の応援をしていた時の話だ。
中国人のお客さまが電気シェーバーをご所望になっていた。当時はまだNationalというメーカー名だったが、現パナソニックのシェーバーを5台欲しいと言う。機能の説明は必要ないから一番高い商品が欲しいという話だったので、最高級のフラッグシップモデルをおすすめしたところ、この商品は日本製かと聞かれた。
僕はこの商品は日本製ではなく、マレーシア製だと答えたところ、中国人のお客さまは難しい顔をされ、日本製の日本のメーカーの電気シェーバーが欲しいと言う。どうやら最高価格の機種であれば日本製で間違いないと思っていたらしい。
店頭在庫を全て調べ、マレーシア製しかないことをお見せして、メーカーサービスに連携をして、日本製が存在しないことをお伝えすると、その中国人のお客さまは観念して、マレーシア製の電気シェーバーを5台購入買っていった。中国製じゃないだけまだいいか、という言葉を残して。
それほど中国人の方はmade in chanaを信用していないのかと勉強になった一件だった。
東芝REGZA Zシリーズの秘密
過去に東芝の液晶テレビREGZAでZシリーズというラインナップが存在した。REGZAの中でも高画質を売りにしたモデルでマーケットでの人気も高かったフラッグシップモデルだ。毎年シリーズ内でラインナップの更新が行われるが、数年前に発売されていたモデルで型番は覚えていないが、確かZ5かZ7だったと思う。
このモデルは日本製と中国製が混在していた販売側からすると非常に迷惑極まりない商品だった。梱包箱の段ボールの色が濃いモデルが日本製で色が薄いモデルが中国製という表記をしていたのだ。
もっとも、日本製と言っても組み立てが日本というだけであり、中国製と言っても組み立てが中国で行っているというだけの話だ。使用部品の品質に差を設けていたわけではないのだが、made in 〇〇に敏感な層には看過できる項目ではないのだろうと思う。
家電製品は様々な部品の集合体である
例えば野菜を例にすると、日本産の野菜は日本で生産された野菜であることは間違いない。気にする人は使用農薬はどこの国の農薬を使用しているのか気にするのかもしれないが、そこまで表記している野菜をスーパーで見かけることはない。
同様にテレビを例にすると、日本製のテレビは日本国内で組み立てが行われている商品であることは間違いない。だが、すべての部品が日本国内で製造されたものが使われていることは100%無いだろう。確証データが無いが言い切っても良い。液晶パネル・基板・スイッチ部・半導体・電源ユニット・冷却部等様々な部品の集合体である家電製品でmade in 〇〇=原産国表記と思っていることがナンセンスな話だ。
hpの東京生産というプロモーション
ヒューレット・パッカードはパソコン販売のプロモーションで東京生産という言葉を利用している。これはとても好感が持てる。組み立ては東京で行っていますよという明確なメッセージを消費者に送っている。今時パソコンの部品は中国韓国台湾を避けて調達できるわけがない。消費者も馬鹿では無いのでそんなことは知っている。だからこそ、生産だけは東京で行っているので流通も速くて品質も安定していますよという事をプロモーションしているのだ。
Made in PRC
Made in PRCと表記された製品を見掛けたことはあるだろうか。最近は減ったのかもしれないが数年前は結構流行した表記方法だ。一体どこの国で生産されたのか、一見わかり難いが、答えは中国だ。
People’s Republic of China(中華人民共和国)の略称でPRCという表記を使用しているのだ。嘘ではないが、一般的な表現ではないこの表記を是とするか否とするかは業界次第と言える。法的な規制が無理であれば、業界で自主規制を行うしか方法はないのだが。
made in 〇〇は参考程度に
結論としては、家電製品においてはmade in 〇〇という表記は参考程度に留めるべきだろう。文中でも触れているが、家電製品は様々な部品の集合体であって、組み立てをどこの国で行っているかだけの問題だからだ。もっとも、海外から輸送してくる製品と、国内生産の製品では、輸送時の製品故障の確率はゼロではないので日本生産の方が安心できるという考え方は否定はしないが、参考程度に留めておいて問題はないだろう。