3Dテレビの生産終了と聞いて思い出さざるをえないカラーファックスという遺物
3Dテレビの生産が終了するらしい。最後までマーケットに供給を続けたソニーとLGも遂に生産終了する。
3Dテレビの失敗
3Dテレビの失敗は偏にコンテンツ不足だ。アバターが大ヒットし、映画業界に3Dという概念を再構築するも、映画以外のコンテンツが全く育たなかった。やはり地上放送に普及しないとコンテンツ不足は否めないのだろう。
家電業界は全く新しいハードウェアが普及することもあるが、基本的には既製品のバージョンアップが長く続いている。その中で既製品に新しい概念を導入する手法は昔から良くある話だ。
3Dテレビも同様だ。既存のテレビに3Dコンテンツも見れるという付加価値を付けて発売したが、全く普及しなかった。このようなカテゴリーの製品は意外に多いのである。
カラーファックス
カラーファックスという存在をご存じだろうか。一般的には個人間でやり取りをするファックスをカラー化した規格が今から20年ほど前に存在した。当時のファックスの平均価格が2~3万円だったが、カラー規格準拠のファックスは4~5万円程で販売されていたものである。
当然単色のインクフィルムではカラー印刷が不可能なので、インクカートリッジで印刷する方式だ。今の製品に例えるとブラザーの複合機が近い存在かもしれない。
メーカー主導で販売店を中心に普及に努めたが、あまり売れずに結局は規格自体が無くなってしまった。カラーファックスの敗因は3Dテレビとは異なりコンテンツ不足ではなく、単に消費者の需要が無かっただけというマーケットのリサーチ不足に過ぎなかったのである。
敗れ去る事に意義がある
ビデオテープやDVDのような規格戦争に敗れて衰退していった製品は多い家電業過だが、3Dテレビやカラーファックスのようにソフトの存在そのものが抹殺される製品は珍しいものだ。今後もこのようなニッチのまま終焉を迎える製品が数多く出ることを願う。
何故ならその方が家電業界が面白くなると僕は思う。